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竹でもバイオマス発電、繁茂を防いで4400世帯分の電力を作る
世界で初めて竹を燃料に使うバイオマス発電所の建設計画が決まった。山口県の山陽小野田市にある工業団地の中で、発電能力2MWの発電所を2017年1月に運転開始する予定だ。県内の森林で問題になっている竹林の繁茂を解消しながら、再生可能エネルギーで地域を活性化する。
[石田雅也,スマートジャパン]
山口県は竹林の面積が全国で4番目に広く、竹の繁茂によってスギやヒノキの成長が阻害されるなど、森林の環境を阻害する要因になっている。森林組合が中心になって竹の伐採を進める一方、県の主導で竹をチップ化してバイオマス燃料の製造に取り組んできた(図1)。
こうして竹を燃料として供給する体制が整ってきたことを受けて、世界で初めて竹を専焼するバイオマス発電所の建設が始まる。その名も「山陽小野田バンブーバイオマス発電所」である。建設予定地は山口県の西部にある山陽小野田市の工業団地で、2016年1月に着工して、2017年1月に運転を開始する予定だ(図2)。
発電能力は約2MW(メガワット)になり、年間の発電量は1580万kWh(キロワット時)を見込んでいる。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して4400世帯分に相当する。この電力で山陽小野田市の総世帯数(2万8700世帯)の15%をカバーすることができる。山口県には未利用の竹資源が豊富にあり、長期にわたる燃料の確保にも問題はなさそうだ(図3)。
発電所を建設・運営する事業者は、徳島県を本拠に発電設備の施工などを手がける藤崎電機である。総投資額は23億7000万円にのぼる。発電した電力を固定価格買取制度で売電すると、間伐材などの未利用木材を燃料に使ったバイオマス発電の場合には買取価格が1kWhあたり32~40円(税抜き)になる。発電能力が2MW未満ならば40円を適用できて、年間の売電収入は6億3000万円に達する。
藤崎電機は新たに竹チップを燃料に使えるバイオマス発電設備をドイツのバイオマス発電プラントメーカーであるランビオン・エナジー・ソリューションズ(Lambion Energy Solutions)社と共同で開発した。山口県に第1号の発電所を建設するのに続けて、徳島県に第2号の建設を予定している。さらに国内外の各地にバンブーバイオマス発電所を展開する計画だ。
日本の竹林の面積は1980年代から増加傾向にある。林野庁の調査では1981年(昭和56年)から2007年(平成19年)のあいだに1割も増えている(図4)。さらに竹の侵入率が25%以上の森林を加えると2.5倍の面積になる。都道県別で竹林面積が最も広いのは鹿児島県で、次いで大分・山口・福岡・熊本・島根の合計6県が1万ヘクタール(=100キロ平方メートル)を超えている。特に九州と中国に集中している。
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